クレープ屋の開業資金はいくら?3つのパターンで解説

CREPE STARTUP | 開業資金

「クレープ屋を始めたいけれど、いったいいくら用意すればいいの?」――開業資金は、どこで売るかで大きく変わります。この記事では、自宅キッチン・キッチンカー・店舗の3つのパターンに分けて、必要なお金の内訳と、資金を抑えるコツをパティシエの目線でまとめました。

開業資金は「どこで売るか」で決まる

クレープは、ほかの飲食業にくらべて小さく始めやすい業態です。必要な調理器具はクレープ焼き器(クレープメーカー)と冷蔵庫が中心で、大きな厨房設備はいりません。そのぶん、開業資金の差を生むのは「どこで売るか」です。

大きく分けると、次の3つのパターンがあります。

自宅キッチンキッチンカー店舗(賃貸)
開業資金の目安数十万円〜150万円程度150万〜700万円程度
(中古車の改装か、新車の製作かで大きく変わる)
300万〜1,000万円程度
毎月の費用光熱費の増加・包材など(家賃はかからない)駐車場代・車両維持費家賃・光熱費・人件費
営業日週末だけでもOKイベントや出店場所しだい週3日〜毎日
向いている人子育て・本業と両立したい場所を変えて売上を伸ばしたい自分のお店を育てたい

※金額は一般的な目安です。物件・車両・設備の状態や地域によって大きく変わります。

パターン1:自宅キッチンで始める

もっとも資金を抑えられるのが、自宅の一角で製造・販売する方法です。ただし、家庭用のキッチンをそのまま使うことはできません。食べ物を売るには保健所の営業許可が必要で、住居部分と区切られた専用の作業スペースや、手洗い専用のシンクなどの条件を満たす必要があります。

主な費用の内訳

  • 作業スペースの改装(間仕切り・シンクの増設など):数十万円〜
  • 業務用クレープ焼き器:数万〜十数万円
  • 業務用冷蔵庫・作業台:数万〜数十万円
  • 営業許可の申請手数料・食品衛生責任者の講習:数万円程度
  • 包材・看板・メニュー表・初回の材料:数万円〜

すでに使える部屋やスペースがあれば、改装費はぐっと下がります。家賃がかからず、毎月の費用を小さく抑えられるので、売上が小さい立ち上げ期でも赤字になりにくいのが最大の強みです。一方で、自宅の場所によっては集客が難しいため、SNSやLINEでの予約販売と組み合わせるのが基本になります。ただし、業務用のクレープ焼き器や冷蔵庫の電気代、洗い物の水道・ガス代は確実に上がります(目安は月4,000〜9,000円程度)。200Vの機器を使う場合は、電気の契約や配線の確認も必要です。

パターン2:キッチンカーで始める

キッチンカーは、イベントや商業施設の駐車場など、人が集まる場所へ自分から出向けるのが魅力です。賃貸住宅に住んでいて自宅では許可が取りにくい方にも向いています。

主な費用の内訳

  • 車両の購入・改装:中古の軽トラックを改装すれば100万〜250万円程度。新車で製作すると数百万円になることも
  • 給水・排水タンク、シンク、換気設備など許可に必要な設備
  • 発電機・クレープ焼き器・冷蔵庫
  • 営業許可の申請手数料(営業する地域ごとに必要になる場合があります)
  • 車両保険・出店料・駐車場代

見落としがちなのが仕込み場所です。営業許可のない自宅のキッチンで仕込みをすることは原則できないため、許可を取った仕込み場所(自宅の専用スペースや、シェアキッチンなど)を別に用意する必要があります。また、道路上で販売する場合は、警察署などへの道路使用の手続きが必要になることもあります。

キッチンカーの営業許可は、営業する地域を管轄する保健所ごとに取るのが原則です。複数の市や県で出店したい場合は、事前にどこの許可が必要かを確認しておきましょう。また、出店場所の確保が売上を大きく左右するので、車両を買う前に「どこで売るか」の見通しを立てておくことが失敗しないコツです。

パターン3:店舗を借りて始める

常設の店舗は、通りがかりのお客様やリピーターが増えやすく、ブランドとして育てやすいのが強みです。そのぶん、動くお金はひとケタ大きくなります。

主な費用の内訳

  • 物件取得費(保証金・敷金・礼金・仲介手数料・前家賃など):家賃の数ヶ月〜1年分程度
  • 内装・外装工事(居抜き物件なら大きく下げられることも)
  • 厨房設備・什器・レジ
  • 看板・ロゴ・ショップカードなどの販促物
  • オープン後数ヶ月分の運転資金

店舗開業では、自己資金だけで始めると、オープンした時点で手元の現金がほとんど残らないことがよくあります。日本政策金融公庫などの創業融資や、国や自治体の補助金を組み合わせて、開業後も運転資金が残る資金計画を立てることが大切です。融資・補助金には審査があり、必ず受けられるものではないので、早めに相談を始めましょう。

見落としがちな「運転資金」

開業資金というと設備や工事に目が行きがちですが、本当に大事なのはオープン後にお店を回し続けるためのお金です。お客様がつくまでには時間がかかります。材料費・家賃・光熱費・広告費など、売上がなくても出ていくお金を、最低でも3ヶ月分、できれば6ヶ月分は確保しておくと安心です。

運転資金の考え方(例)

毎月の固定費が20万円なら、3ヶ月分で60万円。これを開業資金とは別に手元に残しておくと、売上が安定するまでの時期を落ち着いて乗り切れます。

開業資金を抑える4つのコツ

1. 小さく始めて、売れてから広げる
いきなり店舗を構えるより、自宅やキッチンカーで固定客をつくってから店舗に進むほうが、失敗したときの傷が浅くて済みます。

2. 設備は中古・リースも検討する
冷蔵庫や作業台は中古でも十分使えるものが多くあります。クレープ焼き器など、毎日使って品質に直結するものにお金をかけましょう。

3. 融資・補助金を早めに調べる
補助金は申請の時期が決まっていて、原則として「採択されてから」使ったお金が対象になります。開業日から逆算して準備を始めることが大切です。くわしくは「クレープ屋の資金調達は『補助金→融資』の順番がカギ」で解説しています。

4. 商品開発のコストと時間を省く
一から生地のレシピを開発すると、材料の試作費と時間がかかります。すでに売れている商品を使えるフランチャイズは、この開発コストを省ける選択肢です。

3つのパターン、どれを選ぶ?

迷ったときは、次の3つの質問に答えてみてください。

Q1. 週に何日、何時間働けますか?
平日は本業や子育てがあり、動けるのは週末だけ、という方は自宅キッチンかキッチンカーが現実的です。店舗は家賃がかかるため、営業日が少ないと固定費の負担が重くなります。

Q2. 自宅に作業スペースをつくれますか?
持ち家で、住居と区切れる部屋や土間がある方は自宅キッチンが有力です。賃貸住宅やマンションでは許可の条件を満たしにくいため、キッチンカーや店舗を検討しましょう。

Q3. どれくらいの売上を目指しますか?
月に数万〜十数万円の「もう1本の収入の柱」がほしいなら、自宅やキッチンカーで十分に目指せます。家族を支える本業として月に数十万円以上を目指すなら、店舗という選択肢が見えてきます。

最初から完璧な形を選ぶ必要はありません。自宅で常連さんをつくり、キッチンカーで認知を広げ、店舗へ進むという段階を踏むのも、資金のリスクを小さくする立派な戦略です。

まとめ|まずは「どこで売るか」から

クレープ屋の開業資金は、自宅キッチンなら数十万円から、キッチンカーなら150万円前後から(新車なら数百万円)、店舗なら数百万円からが目安です。どのパターンでも、設備のお金だけでなく、オープン後の運転資金まで含めて考えることが、長く続けるための第一歩になります。

パティシエ監修のPari Paris Crepeでは、自宅キッチン・キッチンカー・店舗の3つのスタイルで開業をサポートしています。店舗の開業では、物件選びや資金計画、創業融資の準備まで一緒に考えます。「自分の場合はいくらかかる?」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

平野めぐみ(Megumi)

平野めぐみ(Megumi)|Pari Paris Crepe 代表・パティシエール
カナダのホテル調理専門学校を卒業後、パリのショコラティエで修業、イタリアの5つ星ホテルの厨房を経て、パティスリーを開業。現在はモンブラン専門店・クレープ店を営みながら「小さな商い設計室」として小さなお店の開業を支援をしています。

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