自宅でクレープ屋を開くには?営業許可と作業スペース

CREPE STARTUP | 自宅開業の許可

「家のキッチンで焼いたクレープを、そのまま売ってもいいの?」――答えはいいえです。でも、あきらめなくて大丈夫。条件を満たした作業スペースをつくって営業許可を取れば、自宅でもクレープ屋は開けます。この記事では、自宅開業に必要な許可と、作業スペースの考え方、進める順番をまとめました。

▶ この記事を読むとわかること

  • 家のキッチンのままでは売れない理由
  • 自宅でクレープを売るときに必要な許可と資格
  • 作業スペースをつくるときの考え方と、進める順番

家のキッチンのままでは、クレープは売れません

まず結論です。ふだん家族のごはんを作っているキッチンで焼いたクレープは、売ることができません。お金をいただいて食べ物を売るには、保健所の「営業許可」が必要で、その許可は生活の場所と分けられた作業スペースにしか出ないからです。

理由:お客様の口に入るものだから

家のキッチンには、ペットの毛やほこり、家族の食べ残しなど、どうしても生活のものが入ってきます。お客様が安心して食べられるように、食品をつくる場所は「生活とは区切られていること」が求められるんです。

実際に、自治体の基準でも「住居と区画されていること」「自宅のキッチンと兼用できない」といった決まりが示されています。

とは言っても…「じゃあ自宅開業はムリ?」

そんなことはありません。家の一部屋や土間、ガレージなどを営業用の作業スペースとして区切って整えれば、自宅でも許可を取れる可能性があります。「家のキッチンをそのまま使う」のではなく、「家の中に小さなお店の厨房をつくる」と考えるとイメージしやすいですよ。

自宅開業で必要になる許可と資格

自宅でクレープを売るときに必要になるものを、表にまとめました。

必要なもの内容どこで
営業許可売り方によって「菓子製造業」や「飲食店営業」などの許可を取ります。作業スペースが基準に合っているか、保健所の確認があります住所を管轄する保健所
食品衛生責任者お店ごとに1人置く必要がある資格。講習を1日受ければ取れます各都道府県の食品衛生協会など
HACCPに沿った衛生管理衛生管理の計画をつくり、日々の記録をつけます自分のお店で計画・記録
開業届個人事業主として始めたことを届け出ます税務署

どの許可になるかは「売り方」で変わる

クレープは、少しややこしい食べ物です。焼いた生地を持ち帰りで売るなら菓子製造業、その場で仕上げてすぐ食べてもらうなら飲食店営業と判断されることがあります。国の資料でも、同じような商品でも自治体や保健所によって判断が分かれることがあると書かれています。

だからこそ、自分の売り方を決めてから、保健所で「この売り方なら、どの許可ですか?」と聞くのがいちばん確実です。

※許可の種類・基準・手数料は自治体によって違います。必ず管轄の保健所へ事前にご相談ください。

資格や許可の全体像は、未経験からクレープ屋を開業するには?でもくわしくまとめています。

作業スペースをつくるときの5つのチェック

作業スペースの基準は自治体ごとに細かく決められていますが、多くの場所でよく確認されるのは、次のようなポイントです。

  • 生活の場所と区切られているか:扉や壁で仕切られていること。パーテーションを置くだけでは足りないことが多いです
  • 専用の手洗い設備があるか:調理用のシンクとは別に、手を洗う場所が求められることがあります
  • シンクの数と大きさ:洗い物の量に合ったシンクが必要です
  • 床・壁が掃除しやすいか:水拭きできる素材かどうかを見られます
  • 冷蔵庫や材料の置き場所:家族の食材とは分けて保管できるか

具体例:よくある自宅開業のパターン

場所向いているケース気をつけたいこと
使っていない一部屋持ち家で、扉で区切れる部屋がある水まわりの工事が必要になることが多い
土間・勝手口まわり外から出入りしやすい虫やほこりが入らない工夫が必要
ガレージ・離れ生活の場所と完全に分けやすい電気・水道を引く工事費がかかることも

とは言っても…「賃貸だけど大丈夫?」

賃貸住宅やマンションでは、工事の許可が大家さんから出なかったり、そもそも住宅で営業すること自体が契約で禁止されていたりすることがあります。その場合は、無理に自宅にこだわらず、キッチンカーや、許可のあるシェアキッチンを使う方法も考えてみてください。始め方は一つではありません。

自宅開業はこの順番で進めよう

いちばん大事なのは、工事の前に保健所へ相談することです。工事が終わってから「この形では許可が出ません」となると、やり直しの費用がかかってしまいます。

  1. 売り方を決める
    持ち帰りか、その場で食べてもらうか。予約販売か、店頭販売か。
  2. 作業スペースの場所を決めて、簡単な図面をかく
    手書きでも大丈夫。シンクや冷蔵庫の位置を書き込みます。
  3. 図面を持って保健所に事前相談
    必要な許可の種類と、足りない設備を確認します。
  4. 食品衛生責任者の講習を予約する
    講習日は限られているので、早めがおすすめです。
  5. 工事・設備の準備
    保健所で確認した内容に合わせて整えます。
  6. 営業許可の申請 → 施設の確認
    許可が出たら、いよいよ販売スタートです。

とは言っても…「工事にいくらかかるか不安」

工事の費用は、今ある設備によって大きく変わります。すでに水道がある部屋なら小さく済むこともあれば、配管から必要になることもあります。見積もりは複数の業者から取ること、そして補助金が使えるかどうかを工事の前に調べることが大切です。補助金は、申請の前に発注してしまうと対象外になることが多いからです。

お金の全体像はクレープ屋の開業資金はいくら?で、補助金と融資の順番はクレープ屋の資金調達で解説しています。

自宅開業のいいところ・大変なところ

いいところ大変なところ
家賃がかからず、毎月の固定費を小さくできる作業スペースの工事が必要になることが多い
通勤がなく、子どものそばで働ける電気代・水道代・ガス代は上がる
予約販売なら、作る数を決めてから焼ける場所が知られにくく、集客の工夫が欠かせない

自宅開業は「固定費ゼロ」ではありません。焼き器や冷蔵庫の電気代は、思っているより上がります。それでも、家賃がない分だけ、小さく始めて少しずつ育てられるのは大きな強みです。

子どもが学校から帰ってきたときに「おかえりー!」と言える。そんな働き方を選べるのも、自宅開業ならではですよね。

よくある質問

家のキッチンで作ったクレープを、マルシェで売ってもいいですか?

できません。マルシェやイベントで売る場合も、営業許可のある施設で作ったものであることが必要です。出店する場所によっては、別に許可や届出が必要になることもあるので、主催者と保健所に確認しましょう。

ネットや予約だけの販売なら、許可はいりませんか?

売り方に関係なく、食べ物を作って売るなら営業許可が必要です。予約販売は、作る数を決めてから焼けるので、ロスが少なく自宅開業と相性のよい売り方です。

家族に手伝ってもらってもいいですか?

大丈夫です。ただし、手伝う人も手洗いや服装など、衛生管理のルールを守る必要があります。衛生管理の計画に、家族のこともふくめて書いておくと安心です。

まとめ|自宅開業は「先に相談、あとで工事」

自宅でクレープ屋を開くには、生活と区切られた作業スペースをつくり、営業許可を取ることが必要です。どの許可になるかは売り方で変わるので、売り方を決めて、図面を持って、工事の前に保健所へ。この順番を守るだけで、ムダな出費をぐっと減らせます。

パティシエール監修のPari Paris Crepeでは、自宅キッチンでの開業も、保健所への相談の進め方から衛生管理の計画づくりまで一緒に考えます。「うちの家でもできるかな?」という段階から、お気軽にLINEでお問い合わせください。

平野めぐみ(Megumi)

この記事を書いた人

平野めぐみ(Megumi)|Pari Paris Crepe 代表・パティシエール
カナダのホテル調理専門学校を卒業後、パリのショコラティエで修業、イタリアの5つ星ホテルの厨房を経て、パティスリーを開業。現在はモンブラン専門店・クレープ店を営みながら「小さな商い設計室」として小さなお店の開業を支援をしています。

Pari Paris Crêpe
FCのお問い合わせ

まだ決めていないけど、ちょっと聞いてみたい。そんなお問い合わせも大歓迎♡

自宅キッチン・キッチンカー・店舗の3つのスタイルから選べます。収支シミュレーションは、個別のご相談でおひとりずつ一緒に確認します。LINEに「相談」と送ってください!

フランチャイズの詳しい内容はクレープFCのページをご覧ください。