キッチンカーでクレープ屋|始める前に知りたい現実

CREPE STARTUP | キッチンカー開業

「キッチンカーなら、お店より安く、好きな場所で始められそう」――そう思って調べ始める方は、とても多いです。でも、実際の準備やお金の流れを知ると、自宅や店舗を選び直す人がほとんどです。この記事では、キッチンカーのいいところだけでなく、始める前に知っておきたい現実を、正直にお伝えします。

▶ この記事を読むとわかること

  • キッチンカーで必要になる許可と、意外なお金
  • 「好きな場所で売れる」の本当のところ
  • キッチンカーが向いている人・向いていない人

キッチンカーは「車1台あれば始められる」わけではない

先に結論です。キッチンカーは、車のほかに「仕込み場所」と「出店場所」の2つを用意して、はじめて商売になります。ここを知らずに車を買ってしまい、あとで困るケースが少なくありません。

理由:車の中だけでは、許可の条件がそろわないことが多いから

キッチンカーで売るには、車そのものに保健所の営業許可が必要です。さらに、材料の下ごしらえや洗い物をする場所として、別に許可を取った仕込み場所を求められることがよくあります。自宅のキッチンは、仕込み場所としては使えません。

具体例:キッチンカーで必要になるもの

必要なもの内容
車両販売用に改装した車。特殊用途自動車(8ナンバー)として登録することが多い
営業許可車ごとに保健所の許可。基準は自治体によって違います
仕込み場所許可を取った厨房。シェアキッチンや飲食店の厨房を借りる方法も
出店場所イベント・商業施設・空き地など。場所ごとに契約と出店料
保険・届出自動車保険・PL保険。火を使う場合は消防への届出が必要なことも

※必要な許可や基準は自治体によって違います。車を買う・改装する前に、必ず保健所へご相談ください。

お金の現実|「お店より安い」とは限らない

キッチンカーは「家賃がないから安い」と思われがちです。でも、毎月かかるお金を足していくと、店舗と変わらないこともあります。

かかるお金どんなもの
はじめに車両代・改装費(中古の改装か新車の製作かで、150万円前後〜数百万円と幅があります)、設備、許可
毎月仕込み場所の利用料、駐車場代、燃料代、保険、車の維持費
売るたびに出店料(定額や売上の何%など)、移動の時間

※金額は目安です。地域や車両によって大きく変わります。

開業資金の全体像はクレープ屋の開業資金はいくら?で、自宅・キッチンカー・店舗を並べて比べています。

とは言っても…「中古車なら安く始められるのでは?」

中古車は車両代をおさえられますが、改装が保健所の基準に合っているかの確認が欠かせません。買う前に図面や写真を持って保健所に相談すること。ここを飛ばすと、「安く買ったのに、直す費用で高くついた」ということになりかねません。

「好きな場所で売れる」の本当のところ

キッチンカーのいちばんの魅力は「動けること」。でも実際は、どこでも勝手に売っていいわけではありません。

  • 出店場所は、探して契約するもの:人気のイベントや場所は、早く埋まります
  • 天気に売上が左右される:雨や猛暑、寒さで、人出が大きく変わります
  • 同じ場所に、ほかのお店も並ぶ:イベントでは、甘いもののお店が何台も出ることも
  • 移動・設営・片づけの時間:売っている時間のほかに、毎回の準備と運転があります

とは言っても…「イベントで一気に売れるのでは?」

大きなイベントでたくさん売れる日もあります。ただ、それが毎週続くとは限りません。売上の波が大きいぶん、「売れない日もある」前提でお金を計画することが大切です。もうけのしくみはクレープ屋って儲かるの?もあわせてどうぞ。

現実を知ると、自宅か店舗を選ぶ人が多い理由

キッチンカーの現実を知ったうえで比べてみると、こんな声が多くなります。

こんな人は向いている形
子どものそばで、小さく始めたい自宅キッチン(予約販売と相性がよい)
地域に根づいて、常連さんを育てたい店舗(毎日同じ場所にいる安心感)
イベントが好きで、体力と運転に自信があるキッチンカー

クレープは、何度も通ってくれる常連さんに支えられる商売です。「いつもそこにある」こと自体が、お客様の安心になるんです。だから、毎回場所が変わるキッチンカーより、自宅や店舗のほうが続けやすいと感じる人が多いのだと思います。

自宅で始める場合の許可は、未経験からクレープ屋を開業するには?でもまとめています。

それでも、キッチンカーが向いている人

キッチンカーがダメ、ということではありません。こんな方には、ぴったりはまることもあります。

  • イベントやマルシェの空気が好きで、毎回ちがう場所で人に会うのが楽しい
  • 運転と、設営・片づけの体力に自信がある
  • 仕込み場所のあてがある(知り合いのお店の厨房を借りられる など)
  • 地域を回って名前を知ってもらい、将来お店を持つ前の「お試し」にしたい

とは言っても…「自分がどっちかわからない」

それでいいんです。迷っているときは、「どんな1日を過ごしたいか」から考えてみてください。朝は何時に起きて、何時に家族と過ごしたいか。そこから逆算すると、自然と形が決まってきます。

よくある質問

キッチンカーの仕込みを、自宅のキッチンでしてもいいですか?

できません。仕込み場所も、営業許可を取った施設であることが必要です。自宅に許可を取った作業スペースをつくる、シェアキッチンを借りる、知り合いのお店の厨房を借りるなどの方法があります。どれが使えるかは、保健所に確認しましょう。

軽トラックを改装したキッチンカーでも大丈夫ですか?

軽自動車のキッチンカーもあります。ただ、車内の広さや給排水タンクの大きさなど、保健所の基準を満たす必要があります。クレープの焼き器や冷蔵庫が入るかどうかも、買う前に確認してください。

まずは週末だけ、キッチンカーで試すことはできますか?

できなくはありませんが、週末だけでも車両・仕込み場所・保険などの費用はかかります。「小さく試す」が目的なら、許可のあるシェアキッチンで予約販売をしてみるなど、ほかの方法と比べてから決めるのがおすすめです。

まとめ|車を買う前に、まず相談を

キッチンカーは、車・仕込み場所・出店場所の3つがそろって、はじめて商売になります。毎月のお金や天気の波まで知ったうえで、それでもワクワクするなら、あなたに向いているかもしれません。大切なのは、車を買う前に現実を知ることです。

パティシエール監修のPari Paris Crepeでは、自宅キッチンや店舗での開業をおすすめすることが多いですが、キッチンカーが向いている方には、その方に合った進め方を一緒に考えます。「自分にはどの形がいい?」という段階から、LINEでお気軽にお問い合わせください。

平野めぐみ(Megumi)

この記事を書いた人

平野めぐみ(Megumi)|Pari Paris Crepe 代表・パティシエール
カナダのホテル調理専門学校を卒業後、パリのショコラティエで修業、イタリアの5つ星ホテルの厨房を経て、パティスリーを開業。現在はモンブラン専門店・クレープ店を営みながら「小さな商い設計室」として小さなお店の開業を支援をしています。

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